賃貸は契約期間中に退去できる?知っておくべき途中解約の危険な仕組み

「賃貸って契約期間中でも解約して退去できる?」「2年間は絶対に住まないといけないの?」など、賃貸の契約期間に関して疑問に感じていませんか?

賃貸は契約期間中でも解約して退去できるので2年間住む必要はないですが、契約条件を理解していないと高額な違約金を請求される危険があります。

このページでは、長年不動産仲介の営業として働いてきた筆者が、賃貸の契約期間について下記の流れで解説します。

すべて読めば、契約期間の仕組みから、知っておくべき契約条件の内容までわかるので、失敗なく賃貸生活を送ることができるでしょう。

1. 賃貸の契約期間とは

賃貸の契約期間は、「物件を借りて住むことができる期間」を意味しています。

全国的にも「2年契約」が多く、2年後は契約を「更新」することで、新たに2年間の契約がスタートします。

ただ、物件ごとに契約条件は細かく変わるので、内容をきちんと理解しておくことが大切です。

この章では、一般的によくある契約条件と注意点をあわせて解説していきます。

1-1. 契約期間は自分で決めれるの?

賃貸の契約期間は、基本的に貸す人(貸主=オーナー)が決めるため、借りる人(借主=あなた)が決めることはできません。

ただ、長く借り続けたいなどの理由であれば、「2年→3年」のように切り替えてくれるケースも稀にあります。

一方で、半年間だけ借りたいから「2年→6ヶ月」にしてほしいと希望しても、受け入れてくれる可能性は限りなく低いです。

1年未満の契約は貸主に不都合が多い

1年未満の契約は、法律上「期間の定めがない契約」となり、貸主に不都合が多い契約条件になります。

なので、一般的に「1年未満」で募集されることはほとんどありません。ただし、「契約期間1年」という物件は割と多くあります。

また、2章で解説する「定期借家契約ていきしゃっかけいやく」という契約形態であれば、1年未満の期間で募集されることもあります。

1-2. 契約期間中でも解約して退去できる?

法律の定義でいうと、契約期間中の解約は原則不可ですが、一般的な賃貸契約で考えると、契約期間中でも解約して退去できます。

極端な話、数日しか住んでいないというケースでも解約することは自由です。

ただし、なんの連絡もなしに「明日で解約させてください」と言っても受け入れてもらいないので注意しましょう。

解約するときは1ヶ月以上前に申請する

契約期間中に解約するときは、遅くとも解約したい日の1ヶ月前に申請する必要があります。

なぜ1ヶ月も前に申請するのかと言うと、すべての物件で「解約するときは●ヶ月前までに申請しなさい」と決められているからです。

このことを「解約予告期間」と呼び、仮に2ヶ月前であれば、解約したい日の2ヶ月前に申請する必要があります。

解約予告期間は物件により異なる

解約予告期間は、通常1~3ヶ月程度で定められますが、物件によって期間は異なります。

一般的な目安としては、下記を参考にしてください。

  • 一般的な居住用物件:「1ヶ月前」
  • 人気物件や高級物件:「2ヶ月前」
  • 事務所などの事業用物件:「3ヶ月前」
  • 店舗などのテナント物件:「6ヶ月前」

解約予告期間は契約書を見ないとわからないケースが多いので、気になる人は事前に不動産会社に確認しましょう。

1-3. 契約期間中に解約して退去すると違約金はかかる?

物件の契約条件によって異なりますが、違約金がかかるケースもあります。

一般的に多いのは「1年未満の解約で違約金1ヶ月」ですが、下記のようなケースも見受けられます。

  • 1年未満の解約で違約金1ヶ月、2年未満の解約で違約金0.5ヶ月
  • 1年未満の解約で違約金2ヶ月、2年未満の解約で違約金1ヶ月

ちなみに、この場合の「●ヶ月」は家賃のことを意味しています。また、この違約金のことを「短期解約違約金たんきかいやくいやくきん」と言います。

多くの場合、物件の募集ページを見ればわかりますが、物件によっては契約するときに知らされるケースもあるので注意しましょう。

物件数が多いことで人気の「HOME’S」と「SUUMO」には、以下のように物件概要の「備考欄」に記載されていることが多いです。

HOME'SとSUUMOの物件詳細ページ

引用:HOME’SSUUMO

「礼金なし」と「フリーレント付」の物件には要注意

「礼金なし」と「フリーレント付」の物件は、短期解約違約金が設定されているケースが多いので注意が必要です。

募集ページに記載されていない場合でも、不動産会社の人に「短期解約違約金の設定はありますか?」と聞いてみましょう。

フリーレントとは

フリーレントは決められた日数分の家賃がタダになるお得な契約条件です。

仮にフリーレント1ヶ月なら、1ヶ月分の家賃がタダになります。

1-4. 契約期間を延長することはできる?

仮に数日間であっても、契約期間を「延長」することはできません。必ず「更新」する必要があります。

更新することで新たに契約がスタートしますが、その後、数日間だけ住んで解約しても問題ありません。

一度契約を更新すれば、仮に数日で退去した場合でも違約金を請求されることはないので安心してください。

1-5. 契約を更新するときにお金はかかる?

物件の契約条件によって異なりますが、更新するときは「更新料」がかかります。

賃貸物件が多い東京で考えると、更新料として「家賃1ヶ月分」が必要になるケースが一般的です。

また、賃貸の更新料は「礼金」のような謝礼的な役割なので、あなたにとっては無駄な費用といえます。

更新料の相場はいくら?

更新料の相場は、全国的に見ると「0~0.3ヶ月分」ですが、首都圏だと「0.5~1ヶ月分」が相場です。

つまり、住む地域によって相場は変わります。また、地域は「関東と関西」のような分け方ではなく、以下のように都道府県ごとに変わります。

更新料の設定割合を示した全国マップ

上記のマップは「国交省」と「東急住宅リース」が発表してる調査資料をもとに作成していますが、あくまでも平均値です。

例えば、北海道でも「更新料:1ヶ月」の物件はあるので注意しましょう。

なんで地域によって差があるの?

更新料は地域の習慣性が大きく関係していて、昔から更新料をとらない地域は今でも更新料なしの物件が多いです。

一方で、京都のように更新料を払う習慣がある地域は、隣接地域の相場に関係なく更新料を高く設定しています。

ちなみに、京都には「1年ごとに更新料:2ヶ月分」という物件もあり、東京の物件より高く設定されるケースもあります。

1-6. どの物件でも契約を更新できる?

賃貸で募集されているほとんどの物件が、契約を更新することができるといえます。

なぜかと言うと、9割以上の物件が更新して住み続けることができる「普通借家契約ふつうしゃっかけいやく」で募集されているからです。

以下は、国土交通省が調査して算出された、賃貸契約の種類を割合で表したものです。

賃貸契約の種類を割合で表したイメージ図

出典:住宅市場動向調査/国土交通省

ご覧のとおり、ほとんどの物件が「普通借家契約」で募集されているのです。

ただ、割合は非常に少ないですが、「定期借家契約」だと更新することができず契約が自動的に終了します。

次の章で、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いを解説するので、それぞれの特徴などを理解しておきましょう。

2. 賃貸の契約形態は主に2つ|それぞれのメリット・デメリット

これまでに何度か解説してきましたが、賃貸の契約形態は主に下記の2つです。

  • 普通借家契約
  • 定期借家契約

実際に使われることが多いのは「普通借家契約」ですが、東京だと「定期借家契約」の物件も多いので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

  普通借家契約 定期借家契約
1. 物件の用途
  • 居住用・事業用どちらでも可能
  • 居住中・事業用どちらでも可能
2. 契約成立の要件
  • 契約書を取り交わす
  • 法律上は口頭でも可能
  • 契約書を取り交わす
  • 更新がなく期間満了で契約が終了することを、契約書とは別の書面で取り交わす
3. 契約期間
  • 自由に設定可能
  • 1年未満の場合は「期間の定めがない契約」となる
  • 自由に設定可能
  • 1ヶ月なら1ヶ月、10年なら10年限定の契約となる
4. 契約期間中の解約
  • 法律上は基本的に不可
  • 中途解約の特約があれば、その定めに従う
  • 法律上は基本的に不可
  • 中途解約の特約があれば、その定めに従う
  • 200㎡未満の居住用物件で借主にやむを得ない事情があれば可能
5. 更新の可否
  • 基本的に更新可能
  • 貸主が更新を拒むときは「正当な事由」が必要
  • 更新不可
  • 貸主と借主の双方で合意があれば、更新ではなく「再契約」が可能

上記のとおり、定期借家契約のほうが厳しい条件になっていることがわかるかと思います。

ただ、メリットになる点も数多くあるので、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

2-1. 普通借家契約のメリット

普通借家契約は、借主保護の観点から誕生したとも言える契約形態なので、下記のように借りる人にとってはメリットが多いです。

普通借家契約のメリット①|自由に解約することができる

普通借家契約は、解約予告期間に沿って申請することで、自由に解約することができます。

つまり、契約期間に縛られることがないので、ライフスタイルに合わせて気軽に引越すことができる契約形態です。

ただし、契約条件によっては違約金がかかるケースがあるので注意しましょう。

普通借家契約のメリット②|更新することで借り続けることができる

普通借家契約は、借りる人が更新を希望することで、物件を借り続けることができます。

というのも、貸主が更新を拒絶するときは、国が認める「正当な事由」がないといけないのです。

このとき、「家賃を滞納されてるから更新を拒絶したい」と貸主が言っても、正当な事由とは認められません。

ただし、契約条件で「●ヶ月間、家賃を滞納したら解約とする」などの条文が書かれているときは、更新を拒絶されます。

正当な事由とは

国が認める正当な事由は下記のような内容です。

  • 貸している建物を自分や家族の住居などとして使用する必要がある
  • 貸している建物を事業のために使う必要がある
  • 貸している建物を建て替える必要がある

上記の理由であれば国から認められるのかと言うとそうではなく、ここから貸主の都合や借主の都合を裁判所が考慮して判断します。

ただ、普通借家契約は借主が圧倒的に有利な立場となるので、正当な事由と認められるケースは稀です。

つまり、ほとんどの物件が気軽に更新できると考えていいと言えます。

普通借家契約のメリット③|家賃を一方的に増額されることがない

普通借家契約であれば、貸主から家賃を一方的に増額されることはありません。

というのも、家賃を増額するときは借主の承諾も必要なので、あなたが承諾しない限り家賃は増額されません。

また、テナント物件であれば稀に裁判まで進むケースもありますが、一般的な居住用物件であればそこまで話が大きくなることはないでしょう。

増額に応じない場合、退去してと言われたら?

貸主に「増額に応じないなら退去してほしい」と言われたとしても、今までどおり家賃を払い続けていれば退去する必要はありません。

なぜかと言うと、家賃の増額に応じないだけで、入居者を追い出すことはできないからです。この点も、普通借家契約の強みと言えます。

2-2. 普通借家契約のデメリット

普通借家契約は更新が必要なので、更新するたびに更新料を請求されるデメリットがあります。

また、更新料の金額は貸主が自由に決められることから、物件によっては家賃2ヶ月分を請求される可能性もあるので注意しましょう。

以上が普通借家契約のデメリットです。繰り返しになりますが、普通借家契約は借主が圧倒的に有利な契約形態なので、デメリットは少ないです。

2-3. 定期借家契約のメリット

定期借家契約は、借りる人にとって厳しい条件が多いですが、下記のようにメリットも数多くあります。

定期借家契約のメリット①|相場より家賃が安い物件が多い

定期借家契約は期間限定の契約ということから入居希望者が集まりにくいので、相場より家賃を下げて募集する物件が多いです。

家賃の金額で考えると、普通借家契約の物件より「2~3割」安いケースが多いです。

また、礼金をなしにしたり、フリーレントを付けてる物件も多いので、初期費用を安く抑えることができます。

定期借家契約のメリット②|希少な分譲住宅を借りることができる

定期借家契約であれば、賃貸に出回ることが少ない分譲住宅を借りることができます。

なぜかというと、分譲住宅の多くが定期借家契約として賃貸で貸し出されているからです。

ただ、貸主が部屋を使わない期間だけ賃貸に出しているケースが多いので、再契約できない可能性が高いという点に注意しましょう。

分譲住宅とは

分譲住宅は、オーナーが自身の居住目的に建てた、あるいは購入した、戸建てやマンションのことを指します。

一般的な賃貸物件の仕様にはない、グレードの高い住宅設備が揃っているのが特徴です。

定期借家契約のメリット③|物件の審査が通りやすい

貸主からすると、入居者になにか問題があれば再契約しなければいいだけなので、下記のような人でも物件の審査が通りやすいです。

  • フリーター
  • 個人事業主
  • 水商売
  • ひとり親世帯
  • 高齢者
  • 生活保護受給者
  • 外国籍

あくまでも仮説ですが、契約期間を6ヶ月にすれば、貸主は6ヶ月ごとに状況を確認して再契約するか・しないかを検討できます。

入居者は問題を起こさずに生活することで、普通借家契約の物件と変わらず長く住める可能性もあります。

定期借家契約のメリット④|家賃を一括前払いすることができる

貸主との合意が必要ですが、定期借家契約であれば家賃を一括前払いできる物件が多いため、経営者や個人事業主の人は節税にもつながります。

また、水商売の人などで「お金はあるけど審査に通らない」という人は、一括払いすることで滞納する恐れがなくなるので、入居を認められやすいです。

以上のように、人によって受けられるメリットは変わりますが、借りる人にとっては費用面のメリットが多いです。

2-4. 定期借家契約のデメリット

定期借家契約は「貸主が有利な立場で貸し出せる契約形態」なので、借りる人からすると下記のようなデメリットがあります。

定期借家契約のデメリット①|期間満了で契約が終了する

仮に「定期借家契約2年」の条件で契約した場合、2年後に契約が終了します。

普通借家契約あれば、2年後に更新することで契約を継続できますが、定期借家契約は確定的に終了します。

ただ、貸主と借主の双方で合意があるときは、再契約することで住み続けることができます。

定期借家契約のデメリット②|契約期間中の解約は基本的に不可

定期借家契約は、期間中の解約が基本的に不可となっているため、仮に3年契約を交わしたら、3年間は家賃を払い続ける必要があります。

ただ、このような縛りはテナント物件の契約条件に多く、一般的な居住用物件では滅多にありません。

多くの場合、中途解約するときのルールが下記のように定められているので、契約する前に不動産会社に確認しましょう。

  • 中途解約するときは●ヶ月前までに申告する
  • 契約締結から●ヶ月経過すれば中途解約可能

定期借家契約のデメリット③|再契約時に家賃を増額される可能性がある

定期借家契約の物件を再契約するときは、新たな契約条件として家賃を増額される可能性があります。

貸主としては、「新たな契約条件を受け入れてくれるなら再契約します」と言える立場になるので、住み続けたいときは承諾するしかありません。

定期借家契約のデメリット④|再契約時に手数料を請求される可能性がある

更新ではなく「再契約」になるので、礼金や仲介手数料を請求される可能性があります。

そのため、普通借家契約の更新と比べると多くの費用がかかるかもしれないので注意しましょう。

この部分も契約する前に「再契約時の費用はいくらかかりますか?」と不動産会社に確認しましょう。

定期借家契約のデメリット⑤|福利厚生の法人社宅は契約できないことが多い

定期借家契約は更新ができないため、法人社宅の規定条件で契約不可となっているケースが多いです。

そのため、社宅として借りる予定で気に入った物件が定期借家契約だった場合は、会社の担当部署に確認してみましょう。

稀に「再契約ができる物件であれば可能」といったケースもあります。

2章のまとめ.

普通借家契約と定期借家契約は、それぞれにメリット・デメリットがあるので、状況に合わせて検討することが大切です。

特に、同じ物件に長く住みたい人や、子供の学区域を変えにくいファミリーであれば、更新できる普通借家契約の物件を選びましょう。

一方で、期間限定の契約で問題ないという人は、相場より家賃が安い定期借家契約の物件を検討してみましょう。

また、居住用物件であればどちらの契約形態でも途中解約できることが多いので、実際に解約するときの流れを次の章で解説します。

3. 契約期間中に「解約」するときの流れと注意点

契約期間中に解約するときは、下記の流れに沿って手続きすることで失敗なく解約できます。

物件ごとに契約条件は変わりますが、大まかな流れは同じなので把握しておきましょう。

3-1. まずは中途解約の特約をチェックする

解約しようと思い立ったときは、契約書の中途解約に関する特約をチェックしましょう。

項目でいうと、「乙による解約」もしくは「中途解約」の部分に、下記のような内容が記されているはずです。

(借主)は甲(貸主)に対し1ヶ月以上前に書面で通知することにより、本契約を解約することができるものとする。

上記の内容だと「解約予告期間は1ヶ月前」となるので、解約したい日の1ヶ月前には貸主に申告する必要があります。

もし契約書が手元にないときは、契約した不動産会社に電話して解約方法を確認しましょう。

その際、住んでる物件名と名前を伝えれば教えてくれます。

解約月の家賃精算方法に注意

解約月の家賃がどのように精算されるかもチェックしておくことが大切です。

一般的には下記の3つに分けれます。

精算方法 具体的な内容
①日割り 家賃を30または31で割った金額を日数分だけ支払う。
②半月割り 解約日が「1~15日」までの場合は家賃の半月分、「16~31日」の場合は家賃1ヶ月分を支払う。
③月割り 解約日に関係なく、解約する月の家賃1ヶ月分を支払う。

一般的に多いのは「①日割り」ですが、②と③のどちらかが契約条件になっているときは注意しましょう。

「②半月割り」だと、解約日を15日または末日以外にすると損することになります。一方で「③月割り」だと、末日以外の解約はすべて損することになります。

また、「①日割り」と「②半月割りで15日までの解約」の場合、解約する前月に家賃1ヶ月分を支払うので、退去後に差額が返金される流れとなります。

3-2. 指定の方法で解約を申請する

一般的には「解約申込書」などの書面を提出することで申請できますが、物件によっては方法が変わる可能性もあるので注意しましょう。

書面の提出方法は、メールやFAXでいい場合と、下記のように原本を郵送するケースがあります。

乙が本契約の解約を申し出る場合、「解約申込書」に必要事項を記入し甲に書面の郵送または、持参し手続きしなければならない。

上記の場合は、書面を郵送して到着後に受理されてからでないと、申請完了とはなりません。

仮に解約予告が1ヶ月前の物件で「3月31日」に解約を希望していても、郵送で到着したのが3月1日だと解約日は「4月1日」となります。

このとき、精算方法が「②半月割り」もしくは「③月割り」だと、無駄な家賃を払うハメになるので注意しましょう。

解約申込書はどこで手に入れるの?

解約申込書は、契約書の控えと一緒に渡されているケースが一般的なので探してみましょう。

仮に見つからない場合は、不動産会社に連絡してデータや書面を送ってもらいましょう。

3-3. 退去立会日を決める

解約する日が無事に決まったあとは、不動産会社の人と相談して「退去立会日」を決めましょう。

退去立会日は、部屋の中を不動産会社の人と一緒にチェックして、鍵を返す日のことです。

場合によっては不動産会社の人ではなく、清掃業者の人が立ち会う可能性もあります。

退去立会日に用意しておく物

退去立会日に用意しておくものは下記の通りです。

  • 部屋の鍵(マスターキー)
  • エアコンなどのリモコン
  • 各種設備の取扱説明書

部屋の鍵は入居時にもらったマスターキーを返却します。場合によっては、自分で作ったスペアキーも返却を求められます。

また、エアコンなどのリモコンも返却する必要があるので、引越し先に持っていかないように注意しましょう。

そして、各種設備の取扱説明書は、以下のようにファイルにまとめられていたはずなので探してみましょう。

各種設備の取扱説明書

3-4. 解約日までに引越しを完了する

基本的なことですが、解約日までに部屋の荷物をすべて出して引越しを完了させましょう。

仮に解約日までに間に合わない場合、条件によっては遅滞損害金を請求される可能性があるので注意が必要です。

また、電気ガス水道の変更手続きも、ネットや電話で済ませておきましょう。

火災保険の解約手続きも必要

一般的に賃貸を借りるときは火災保険に加入しているので、部屋を出るタイミングで解約の手続きをしましょう。

そうすることで、保険期間が残っていれば解約返戻金を受け取ることができます。

Q. 解約申請と物件探しはどっちを優先するべき?

物件が決まっていない状態で解約することを伝えると、万が一物件が見つからなかったとき行き場を失うので、まずは物件を決めることが先決です。

また、貸主は解約を希望されたときから新たな入居者を探しはじめます。入居者が見つかって契約までした場合、「やっぱり解約しないで更新します」ということができなくなります。

なので、更新するかしないか決断する期日までに物件が見つからない場合は、更新料を払って更新することが望ましいです。

以上が、契約期間中に解約するときの流れと注意点です。次の章で、契約を更新するときの流れを解説します。

4. 賃貸契約を「更新」するときの流れと注意点

賃貸契約を更新するときは、下記の流れに沿って手続きすることで、失敗なく更新することができます。

多くの場合、更新が近づくと不動産会社から「更新の案内」が届くので、それに沿って更新する形でも問題ありません。

ただ、物件によっては届かないケースもあるので、この章で解説する内容を事前に把握しておきましょう。

4-1. 契約満了日の「3~4ヶ月前」に契約書を確認する

契約を更新するときは、契約満了日の3~4ヶ月前に、更新に関する下記の条件を契約書で確認しましょう。

更新の可否を確認する

普通借家契約であれば問題ないですが、稀に「定期借家契約で更新できない物件だった…」なんてことも起こりうるので、まずは更新の可否を確認しましょう。

更新するときの方法を確認する

そして、実際に更新するときはどんな方法で手続きするのかも必ず確認してください。

物件によっては、手続きが不要な自動更新のケースもあれば、書面を提出して更新を申請するケースもあります。

更新するときにかかる費用を確認する

更新料の有無は物件によって変わりますが、下記の費用は賃貸契約の更新料とは別に必要となるケースが多いです。

名目 更新料の目安 どんな費用?
火災保険料 10,000~20,000円 万が一の火災に備えて加入する保険の費用
保証会社利用料 10,000円~賃料の10% 家賃保証をしてくれる保証会社に支払う費用
オプション費用 10,000~20,000円 24時間安心サポートなどに加入するための費用
更新事務手数料 5,000円~賃料の25% 更新するための手数料として不動産会社に支払う費用

仮にすべての費用が必要な場合、賃貸契約の更新料とは別に最低でも30,000円以上は必要になります。

この点を確認しておかないと、更新月に予期せぬ出費を払うことになるので注意しましょう。

もし契約書が手元にないときは、契約した不動産会社に電話して更新方法を確認しましょう。

その際、住んでる物件名と名前を伝えれば教えてくれます。

4-2. 決められた更新方法で手続きを行う

契約書で更新方法を確認できたら、決められた方法で更新の手続きを行いましょう。

物件によっては、連帯保証人や緊急連絡先の情報を書面で提出するケースがあります。理由は、電話番号や住所が変わっていないかチェックするためです。

確認連絡が入ることはほぼないですが、一応書面で提出することを当事者の人に伝えておきましょう。

4-3. 更新するときに必要な費用を支払う

更新料などの費用が必要な場合は、不動産会社から請求書が送られてくるので期限内に支払いましょう。

場合によっては、振込先が2.3箇所に分かれてるケースもあるので注意してください。

家賃が口座引き落としの場合は、所定の日に口座から引き落とされるケースが多いので、口座にお金を入金しておきましょう。

4-4. 更新後に届く契約書類を保管しておく

更新の手続きや費用の支払いが完了すれば、不動産会社から契約書類が送られてくるので、なくさないように保管しておきましょう。

また、火災保険の会社からも「保険証券」が送られてくるので、必ず保管しておきましょう。

以上が、賃貸契約を更新するときの流れと注意点です。

Q. 交渉して更新料をなしにすることはできる?

賢い手順で交渉すれば、更新料がなしになったり、家賃が安くなったりする可能性はあります。

詳しい手順は下記の記事にまとめてあるので、気になる人はチェックしてみてください。

ここまで解説してきた通り、更新するには多額の費用がかかります。

特に首都圏の物件は更新料が必要なので、家賃1ヶ月分以上の費用を払うことになるでしょう。

そこで、更新料を払って更新するのと、別の物件に引越すのはどちらがお得なのか気になる人も多いと思うので、次の章で詳しく解説します。

5. 更新と引越しはどちらがお得なの?

先に結論から伝えると、初期費用が2~3ヶ月分の物件に引越すのであれば、更新するのと同等もしくはお得になります。

この章では、更新料を払って契約を更新するか、更新料を引越し代金に充てて引越すか、どちらがお得なのか算出してみます。

まず、今住んでる物件の家賃を「100,000円」と仮定して、更新後、1年間住んだときにかかる費用は以下のようになります。

更新したあと1年間住んだときにかかる費用

上記の「1,330,000円」をベースにして、更新したほうがお得なのか、引越したほうがお得なのか、確認してみてください。

比較しやすいように、引越し先の物件を下記4つのケースにわけて解説します。

一般的に初期費用の相場は「家賃:4~5ヶ月分」ですが、礼金や仲介手数料などを省いた物件であれば、「家賃:2~3ヶ月分」になります。

設定条件

引越し代金に関しては、単身引越しの平均額である「70,000円」で計算します。

今の物件の敷金は、ハウスクリーニング費用を差し引かれた「50,000円」が返金される形にします。

その他の項目は、一般的な相場に合わせて計算します。

5-1. 家賃:100,000円|初期費用:4~5ヶ月分の物件

家賃は今の物件と同じ「100,000円」、初期費用は相場どおりの「4~5ヶ月分」の物件に引越したときにかかる費用は下記のとおりです。

項目 金額
敷金(1ヶ月分) 100,000円
礼金(1ヶ月分) 100,000円
仲介手数料(1ヶ月分) 110,000円(税込)
保証会社利用料(0.5ヶ月分) 50,000円
火災保険料 20,000円
引越し代金 70,000円
家賃(1年分) 1,200,000円
【返金分】敷金(0.5ヶ月分) −50,000円
合計 1,600,000円

上記のとおり、1年間で「1,600,000円」かかるので、引越すことで「270,000円」余計に払うことになります。

なので、「同じ家賃、相場どおりの初期費用」の物件であれば、引越さずに更新したほうが余計なお金を払わずに済みます。

5-2. 家賃:100,000円|初期費用:2~3ヶ月分の物件

家賃は今の物件と同じ「100,000円」、初期費用は「2~3ヶ月分」の物件に引越したときにかかる費用は下記のとおりです。

項目 金額
敷金(1ヶ月分) 100,000円
礼金(1ヶ月分) 100,000円
仲介手数料(1ヶ月分) 110,000円(税込)
保証会社利用料(0.5ヶ月分) 50,000円
火災保険料 20,000円
引越し代金 70,000円
家賃(1年分) 1,200,000円
【返金分】敷金(0.5ヶ月分) −50,000円
合計 1,390,000円

上記のとおり、1年間で「1,390,000円」かかるので、引越すことで「60,000円」余計に払うことになります。

このとき、「60,000円ぐらいで済むなら引越したい」と感じた人は、初期費用2~3ヶ月分の物件を探してみましょう。

ただ、礼金や仲介手数料がない初期費用2~3ヶ月分の物件は数が限られるので、早い段階から物件を探しはじめることが望ましいです。

5-3. 家賃:90,000円|初期費用:4~5ヶ月分の物件

今の物件より家賃が10,000円安くて、初期費用は相場どおりの「4~5ヶ月分」の物件に引越したときにかかる費用は下記のとおりです。

項目 金額
敷金(1ヶ月分) 90,000円
礼金(1ヶ月分) 90,000円
仲介手数料(1ヶ月分) 99,000円(税込)
保証会社利用料(0.5ヶ月分) 45,000円
火災保険料 20,000円
引越し代金 70,000円
家賃(1年分) 1,080,000円
【返金分】敷金(0.5ヶ月分) −50,000円
合計 1,444,000円

上記のとおり、1年間で「1,440,000円」かかるので、引越すことで「114,000円」余計に払うことになります。

家賃を10,000円下げたとしても、初期費用が4~5ヶ月分の物件だと割高になってしまうので、引越さずに更新したほうが余計なお金を払わずに済みます。

5-4. 家賃:90,000円|初期費用:2~3ヶ月分の物件

今の物件より家賃が10,000円安くて、初期費用は「2~3ヶ月分」の物件に引越したときにかかる費用は下記のとおりです。

項目 金額
敷金(1ヶ月分) 90,000円
礼金(1ヶ月分) 90,000円
仲介手数料(1ヶ月分) 99,000円(税込)
保証会社利用料(0.5ヶ月分) 45,000円
火災保険料 20,000円
引越し代金 70,000円
家賃(1年分) 1,080,000円
【返金分】敷金(0.5ヶ月分) −50,000円
合計 1,255,000円

上記のとおり、1年間で「1,255,000円」になるので、今の物件を更新するよりお得になります。

また、引越して2年間住めば、家賃を下げたことによってさらに「120,000円」お得になるので、物件のグレードが多少落ちたとしても引越す価値はあるといえます。

5章のまとめ.

4つのパターンで解説してきましたが、結論として、初期費用が2~3ヶ月分の物件に引越すのであれば、数万円の負担もしくはお得になります。

一切の負担なく引越したいときは、家賃を10,000円程度下げた上で、初期費用2~3ヶ月分の物件を探すことが望ましいです。

要するに新たな物件の条件次第で、更新したほうがいいのか、引越したほうがお得なのかが決まるため、物件探しが重要になるでしょう。

物件の賢い探し方

初期費用がお得な物件の探し方は、下記の記事にまとめているのでチェックしてみましょう。

賃貸の初期費用はいくら?家賃3ヶ月分得する物件の探し方を徹底解説!

6. まとめ

賃貸の契約期間について解説してきましたが、いかがでしたか。

賃貸の契約期間は、「物件を借りて住むことができる期間」のことで、基本的に貸主が決めるため、あなたが決めることはできません。

そして、一般的には「普通借家契約」が多く、契約を更新することで住み続けることができます。

下記の流れに沿って手続きすれば中途解約も可能ですが、違約金がかかるケースもあるので注意しましょう。

一方で、契約を更新するときは下記の流れに沿って手続きしましょう。

解約するか更新するか迷ってるときは、初期費用がお得な物件を探してみて、いい物件があれば引越しを検討しましょう。

逆にいい物件がないときは、余計なお金を払うことなく更新することが望ましいです。

この記事を読んだことで、あなたが賃貸の契約期間で悩まずに、最適な方法を選択できることを心から願っています。

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