危険!賃貸で必要な連帯保証人の責任と用意できないときにやるべきこと

「賃貸の保証人ってなに?」「保証人はどんな責任があるの?」など、賃貸の保証人について気になっていませんか?

賃貸の保証人は、契約者の代わりに責任をとる人のことですが、正しい役割を理解していないと思いもよらぬ損害を受ける危険があります。

このページでは、長年不動産仲介の営業として働いてきた筆者が、下記の流れで賃貸の保証人について解説していきます。

この記事を読めば、保証人に関する注意すべき点から、保証人がいないときの対応策までわかるので、失敗せずに物件を借りることができます。

1. 賃貸契約の保証人はどんな役割なのか

賃貸契約の保証人は、契約者が家賃を滞納したり、退去後の清掃費用を払わないときなど、契約者の代わりに責任をとる役割があります。

また、保証人はだれでもOKというわけではなく、物件ごとに定められてる規定や基準をクリアしていないと保証人になることはできません。

この章では、賃貸契約で求められる保証人について詳しく解説していきます。

1-1. 賃貸契約では「連帯保証人」を求められる

まず大前提として、賃貸契約は「保証人」ではなく「連帯保証人」を求められることが一般的です。

不動産会社から「保証人を用意してください」と言われた場合でも、実際の契約では「連帯保証人」として扱われることがほとんどです。

きちんと説明しない不動産会社側に問題がありますが、このようなケースは非常に多いです。

1-2. 保証人より連帯保証人のほうが責任は重い

どちらも同じように感じますが、”連帯”という言葉がつくだけで法律上の責任が重くなります。

極端に異なる点として、保証人は状況に応じて支払いを拒否することができますが、連帯保証人は請求された時点で支払いに応じなければいけません。

この違いは法律で明確に定められていることから、連帯保証人が支払いを拒否すると法に反することになるので注意しましょう。

1-3. 連帯保証人が負う責任とは

文字どおり連帯保証となるので、契約者とまったく同じ責任を負うことになります。

極端な話ですが、家賃の支払いが数日遅れたときに「家賃を代わりに払ってくれ」と言われれば、契約者の代わりに払う必要があります。

実際には、数ヶ月間滞納した状態でまとめて請求されることが多いので、いきなり数十万円の支払いを求められるケースが多いです。

実際にどれくらいの金額を請求されるのか

国土交通省の調査によると、連帯保証人が支払いを命じられた平均値は「家賃13.2ヶ月分」です。

家賃が高くなるほど負担額も大きくなるので、保証人をお願いするとき・されるときは慎重に検討しましょう。

ちなみに、支払いを命じられた最高値は「家賃33ヶ月分」なので、非常に高額な請求となるケースもあります。

民法改正で極度額の取り決めが必須になった

2020年4月の民法改正で、”個人”の連帯保証人が負担する極度額の取り決めが必須になりました。(極度額=支払う限度額)

極度額は契約によりバラバラですが、「家賃24ヶ月分」の金額で定められることが多いです。

そのため、連帯保証人を求められたときは負担する極度額を不動産会社に確認した上で、改めて検討しましょう。

1-4. 連帯保証人になるための条件とは

賃貸契約の連帯保証人は、「年収が家賃の36倍を超えている身近な親族」という条件をクリアしてることが理想です。

また、年齢や勤務先、勤務形態も重要視され、下記のようなケースだと別の人を求められる可能性があるので注意しましょう。

  • 年金など安定した収入はあるものの、年齢が65歳を超えている人
  • 年収は家賃の36倍を超えているものの、仕事が水商売だったり、勤務形態がパート・アルバイトなどの人

上記のことから、頼める親族がいなくて友人で申請する人もいますが、信頼性の問題から友人で認められるケースは非常に稀です。

なので、保証人がいないときは、「2章:連帯保証人はいない・用意したくないときはどうするのか」を必ず確認しましょう。

家賃に対して必要な年収の早見表

契約する物件の家賃 連帯保証人の年収基準
5万円 180万円
6万円 216万円
7万円 252万円
8万円 288万円
9万円 324万円
10万円 360万円
15万円 540万円
20万円 720万円

上記はあくまでも基準となり、年収が下回っていても公務員や大手企業で働いていることで、認めてもらえるケースもあります。

1-5. 連帯保証人になるときの流れと必要な情報

連帯保証人になるときは、申込書に個人情婦を記載する必要があるので、事前に調べて準備しておきましょう。

繰り返しになりますが、連帯保証人は契約者と同等の責任を負うことになるので、下記のように勤務先など細かい情報まで求められます。

個人の情報
  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 電話番号
  • 配偶者(有・無)
  • 続柄
  • 現住所
  • 居住年数
  • 居住形態(自己所有・賃貸・社宅/寮・その他)
  • 年収もしくは月収
勤務先の情報
  • 勤務先名
  • 勤務先所在地
  • 勤務先電話番号
  • 本社所在地
  • 代表電話番号
  • 勤続年数
  • 役職
  • 勤務形態(公務員・正社員・会社役員・自営業・パート/アルバイト)
  • 業種(公務員・製造・通信IT・サービス・小売・飲食など)
  • 従業員数

審査がはじまると不動産会社から「本人確認+意思確認」の連絡が入ります。

また、審査に厳しい不動産会社だと、連帯保証人の勤務先に在籍確認をする可能性もあります。

審査で求められる書類

各物件の規定により異なりますが、審査書類として下記の書類を求められるケースがあります。

必要な書類
  • 身分証明書コピー(免許証・保険証・パスポートなど)
  • 収入証明書コピー(源泉徴収票もしくは給与明細3ヶ月分|自営業者は確定申告書)

連帯保証人の年収を知りたくない・知られたくない場合は、申込書の年収部分を未記入で提出しましょう。

そして、連帯保証人から直接、不動産会社に収入証明書をFAXやメールで送ることが望ましいです。

1-6. 連帯保証人が用意する契約時に必要な書類

審査が無事に完了したら、契約時に必要な下記の書類を役所で発行しましょう。

必要な書類
  • 印鑑証明書原本 ※3ヶ月以内発行

連帯保証人が契約に同席する場合は、実印と印鑑証明書を持っていき、契約書類に署名捺印すれば契約完了です。

一方で同席しない場合は、契約書類が郵便で発送されます。そして、案内に沿って必要箇所に署名捺印し、印鑑証明書を同封して返送すれば完了です。

以上が連帯保証人を用意して契約する一連の流れです。

申込や契約の手間がかかることを考慮して、連帯保証人は用意したくないと思った人は、2章で解説する保証会社利用を検討しましょう。

2. 連帯保証人はいない・用意したくないときはどうするのか

家族構成や親の年齢の関係で連帯保証人がいないという人や、手間や責任を考慮して連帯保証人を用意したくないという人は、保証会社を利用して物件を借りましょう。

保証会社を利用すれば、連帯保証人はいない・用意したくない人も難なく物件を借りられるので、保証会社の役割やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

2-1. 賃貸の保証会社とはなにか

賃貸の保証会社は、契約者が家賃を滞納したとき一時的に家賃を立て替えてオーナーに支払ってくれる会社です。

つまり、保証会社は連帯保証人と同じ役割を果たしてくれるので、連帯保証人を用意しなくても物件を借りることができるのです。

ただし、あくまでも一時的に立て替えてるだけで、後日、滞納した家賃は保証会社に支払う必要があります。

2-2. 保証会社を利用するデメリットはあるのか

連帯保証人ではなく、保証会社を利用する場合は下記のデメリットがあります。

  • 利用するには保証料がかかる
  • 3~4ヶ月の滞納で法的な措置をとられる

保証会社のデメリット①|利用するには保証料がかかる

保証会社を利用するときは初期費用と一緒に「初回保証料」を支払います。

初回保証料の相場は「賃料30~100%」ですが、一般的に多いのは「50%」です。

そして、物件を借りている間は1年ごとに「1万円または賃料10%程度」の”年間保証料”が必要になります。

下記は4つのパターンに分けた、2年以上借りるときに支払う金額のイメージです。

賃料「8万円」の場合 初回保証料 年間保証料 年間保証料 2年合計
初回保証料:30%|更新料:10% 2.4万円 8千円 8千円 4万円
初回保証料:50%|更新料:1万円 4万円 1万円 1万円 6万円
初回保証料:70%|更新料:10% 5.6万円 8千円 8千円 7.2万円
初回保証料:100%|更新料:1万円 8万円 1万円 1万円 10万円

※賃料合計は毎月支払う家賃・管理費・駐輪駐車場代などの合計額で敷金や礼金は含まれません。

上記のとおり、契約する保証会社によって支払う金額が変わるので、申し込む前に「保証料はいくらかかるのか」不動産会社に確認しましょう。

また、保証料は万が一のときに保証してもらうための費用なので、値下げ交渉しても一切値下がりしません。

保証会社のデメリット②|3~4ヶ月の滞納で法的な措置をとられる

保証会社は滞納家賃を立て替える負担があるため、3~4ヶ月滞納が続くと強制解約に向けて法的な措置をとります。

一方で、保証会社を利用しない場合はオーナーが多少の猶予を与えてくれる可能性もあるため、保証会社ほど厳しい措置はとられにくいです。

以上のことから、家賃を滞納する恐れがある人にとっては、保証会社利用がデメリットに感じることがあるでしょう。

2-3. 保証会社を利用するメリットはあるのか

契約者にとって保証会社を利用する最大のメリットは、連帯保証人を用意しないで物件を借りられるということです。

保証料などの費用はかかりますが、親族に重い責任を負わせる負担がなくなります。

なので、「連帯保証人がいない人」もしくは「連帯保証人を用意したくない人」は、保証会社を利用すべきといえます。

ただし、保証料を払えば誰でも利用できるというわけではないので注意が必要です。

2-4. 保証会社は誰でも利用することはできるのか

保証会社は保証料を払えば誰でも利用できるわけではなく、利用するには所定の審査が必要です。

審査をする理由は、家賃を滞納することなく払える能力があるかどうかを判断するためです。

審査基準は保証会社によってバラバラですが、次に解説する審査で重要なポイントを事前に把握しておきましょう。

2-5. 保証会社の審査で重要な3つのポイント

基本的に下記の3つをクリアしていれば、問題なく審査に通ります。

  • 公務員や正社員として勤務している
  • 年収が家賃の36倍を超えている
  • 過去に滞納歴がない

上記3つのポイントで少しでも不安に思う項目がある場合は、部屋探しから契約までサポートしてくれる仲介会社の担当者に相談して進めましょう。

なぜなら、利用する保証会社は指定されていることが多く、審査基準も会社によってバラバラなので、詳しい担当者に任せたほうが審査に通りやすくなるからです。

次の章で、保証会社を利用するとき事前に知っておくべきことを解説するので、続けて確認するようにしましょう。

3. 保証会社を利用するときに知っておくべき5つのこと

保証会社を利用して物件を借りようと思った人は、きちんと内容を理解した上で契約するようにしましょう。

また、滞納したときの流れも解説するので、滞納する恐れがある人は必ず確認するようにしてください。

この章では、下記の5つに分けて詳しく解説していきます。

3-1. 保証料は退去後に返金されるのか

契約時に支払う初回保証料や、1年ごとに支払う年間保証料も一切返金されません。

よく間違われやすいのは初期費用の一部として預ける「保証金」です。保証金は敷金とほぼ同じ役割なので、退去後に返金されます。

このように、保証会社に支払う保証料のことを保証金と認識している人が多いので、間違わないように注意しましょう。

3-2. 保証料に消費税はかかるのか

住居として借りる物件は保証料に消費税はかかりません。

ただし、事務所や「SOHO=自宅兼事務所」として借りる物件は消費税がかかります。

また、法人名義で住居として利用する社宅の場合、消費税はかかりません。

3-3. 月額保証料とはなにか

月額保証料は、毎月数%の保証料を払うものです。

保証会社の中には初回保証料を安くするかわりに、月額保証料として少しずつ徴収するプランがあります。

一般的に多いのは「初回保証料50%」ですが、下記のようなプランで募集されることもあります。

  1. 初回保証料30%|月額保証料1%
  2. 初回保証料40%|月額保証料1.5%

上記の2番のように割高なプランもあるので、保証会社を2~3社から選べるときはトータルの費用を計算して選びましょう。

3-4. クレジットカードは作らないといけないのか

信販系と称されるクレジットカード会社が母体の保証会社でも、カードの作成は任意なので不要であれば作る必要はありません。

ただ、指定のクレジットカードを作れば家賃分がポイントとして貯まる特典があります。還元率は家賃分が「0.5%」、その他の買い物は「1%」が多いです。

引越しを機にメインカードを切り替えて普段使いすれば、ポイントがどんどん貯まっていくでしょう。

クレジットカードが作れる保証会社

下記の保証会社ならクレジットカードを作ることができるので、効率よくポイントを貯めることができます。

保証会社 還元率 (家賃 |その他) 年会費
0.5%|1% ・無料
0.5%|0.5% ・無料
0.5%|1% ・年間利用額10万円以上:無料
・年間利用額10万円未満:1,250円(税別)

ただし、審査時は過去の滞納歴まで確認されるので審査基準は厳しいです。

3-5. 家賃を滞納したらどうなるのか

保証会社により対応は異なりますが、滞納してから1週間前後で電話連絡が入ります。

その後、1ヶ月経っても滞納していると、スタッフが自宅まで来ることが多いです。 その場で滞納した理由や現況を伝え、きちんと払うことを約束します。

それでも滞納が2~3ヶ月続くと、訴訟の手続きに入る旨が書かれた内容証明が届きます。

内容証明は郵便局員から受け取った時点で「内容を確認した」という扱いになるので、無視することはできません。

それでも滞納し続けると強制退去になる

内容証明を受け取ったあとも滞納し続けると、強制退去の扱いとなり、裁判に進むため裁判所から出廷を求められます。

それも無視し続けると強制執行となり、厳しいケースだと荷物をすべて出された上、鍵を取り替えられ入室できなくなります。

上記のことから、家賃滞納が「3ヶ月以上」続くと保証会社は規定に沿って強制執行まで順序よく進めます。

ですので、「もう少し待ってください…」のような泣き言は一切通じないということを覚えておきましょう。

4. まとめ

賃貸の保証人について解説してきましたがいかがでしたか。

大前提として、賃貸契約は保証人ではなく、連帯保証人として契約するということを忘れないようにしましょう。

また、連帯保証人は非常に重い責任を負う立場となるので、依頼するとき・されるときは慎重に検討してください。

そして、連帯保証人はいない・用意したくないという人は、保証会社を利用して親族に負担をかけずに物件を借りましょう。

賃貸の保証会社についてより詳しく知りたい方は、下記の記事を確認してください。

賃貸保証会社の仕組みと審査で落ちる人に共通する3つのポイント

あなたがこのページを読んだことで、賃貸の保証人に対する疑問が解消され、悩まずに賃貸物件を借りられることを心から願っております。

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