「賃貸の仲介手数料ってなに?」「なんで半額や無料の物件があるの?」など、賃貸の仲介手数料について気になっていませんか?
賃貸の仲介手数料は、契約を仲介(サポート)してくれたお礼として支払うお金で、半額や無料があるのは不動産業界のグレーな仕組みとからくりがあるからです。
このページでは、長年不動産仲介の営業として働いてきた筆者が、下記の流れで賃貸の仲介手数料について解説していきます。
- 1分でわかる!賃貸の仲介手数料とはなにか
- 仲介手数料が無料になる3つのからくり
- 仲介手数料「あり・なし」のメリット・デメリット
- 仲介手数料を交渉するときの2つの注意点
- 初期費用が安い物件を探すときにやるべき3つのステップ
このページをすべて読めば、仲介手数料の仕組みから、お得に契約するための方法まで知ることができるので、損することなく物件を借りれます。
1. 1分でわかる!賃貸の仲介手数料とはなにか
賃貸物件を借りるときの仲介手数料は、オーナーとあなたの契約を不動産会社が仲介(サポート)したときに発生する手数料です。
このイメージをもとに、仲介手数料について解説します。
1-1. 部屋探しのお礼として支払うお金
仲介手数料をわかりやすく言い表すと、あなたの部屋探しから契約までを手伝ってくれた”お礼”として、不動産会社に支払うお金です。
似たような費用で「礼金」がありますが、礼金は部屋を貸してくれるお礼として、オーナーに支払うお金です。
1-2. 契約が成立したときに限り支払う
仲介手数料は、契約が成立したときに限り支払うことが原則です。つまり、100件部屋を案内してくれても、契約しない限り支払う必要はありません。
また、申込金などの名目で契約するまえに費用を払ってる場合でも、キャンセルした段階で全額返金されます。
なにかしらの利用をつけて返金を拒むような不動産会社は違法行為となるので、都庁や県庁の担当部署に相談しましょう。
1-3. 仲介手数料は法律で上限が決められている
賃貸契約の仲介手数料は「家賃:1ヶ月分+消費税」が上限と法律で決められています。
また、管理費や共益費は仲介手数料に含まれません。仮に「家賃:50,000円|管理費:3,000円」の場合「50,000円+消費税」が上限です。
そして、賃貸の仲介手数料は「オーナーが0.5ヶ月分|あなたが0.5ヶ月分」の負担割合で、合計1ヶ月分ということが原則とされています。
ただし、オーナーかあなたのどちらかが承諾すれば、承諾した人が「家賃1ヶ月分」を支払うことになります。
この法律を知ってる人は少ないので、部屋の内覧中や申し込むときに下記のような会話が生まれます。
- 不動産会社:契約時には仲介手数料1ヶ月分いただきます。
- あなた:仲介手数料って安くならないですよね…?
- 不動産会社:そうですね。規定で1ヶ月分と決まっています。
- あなた:(…仲介手数料は仕方ないか。)はい、わかりました。
この時点であなたが「承諾した」ことになるので、不動産会社は問題なく仲介手数料1ヶ月分を請求できます。
この記事を見た人は「絶対に承諾しない!」と感じるでしょうが、ここで抵抗しても意味がありません。詳しくは「4章」で解説します。
駐車場の仲介手数料は法律の定めがない
駐車場を契約するときの仲介手数料に関しては、法律で上限が定められていません。
なので、契約する会社によっては「賃料:1~2ヶ月分+消費税」を請求されるケースもあります。
1-4. 相場は「家賃:0.5~1ヶ月分」
仲介手数料の相場は、一般的に「家賃:0.5~1ヶ月分」です。
以前までは「家賃:1ヶ月分」が当たり前でしたが、今は少しでも安さをアピールして入居者を集めるのが主流なので、「0.5ヶ月分」の物件も多いです。
下記は、家賃ごとの仲介手数料の相場表です。(金額は税別)
家賃 | 0.5ヶ月分 | 1ヶ月分 |
30,000円 | 15,000円 | 30,000円 |
50,000円 | 25,000円 | 50,000円 |
70,000円 | 35,000円 | 70,000円 |
90,000円 | 45,000円 | 90,000円 |
110,000円 | 55,000円 | 110,000円 |
130,000円 | 65,000円 | 130,000円 |
150,000円 | 75,000円 | 150,000円 |
170,000円 | 85,000円 | 170,000円 |
200,000円 | 100,000円 | 200,000円 |
有名な不動産会社だと「エイブル」や「ミニミニ 」が、0.5ヶ月分の仲介手数料で契約できる物件が多いです。
0.5ヶ月分になる理由は、上述した通り「オーナーが0.5ヶ月分|あなたが0.5ヶ月分」の負担割合にしているからです。
ただ、多くの場合、自社管理物件だけが0.5ヶ月分の対象なので、物件の選択肢が限られるデメリットがあります。
1-5. 仲介手数料無料も増えている
最近では、0.5ヶ月分よりもさらにお得な「仲介手数料無料」で契約できるケースも多くなっています。
仲介手数料が無料だと不動産会社の利益は0になるのでは?と感じますが、賃貸の仲介手数料はグレーなからくりがあるのです。
次の章で詳しく解説します。
2. 仲介手数料が無料になる3つのからくり
賃貸物件の仲介手数料が無料になるからくりは、下記の3つがあります。
- 仲介会社に広告料が支払われるため無料
- 部屋のオーナーと直接契約するため無料
- オーナーが仲介手数料を支払うため無料
「仲介会社」というのは、オーナーとあなたの契約を仲介(サポート)する不動産会社のことを指し、「客付業者」とも呼ばれます。
そして、後に出てくる「管理会社」は、オーナーから入居者の募集・管理を任された不動産会社のことを指し、「元付業者」とも呼ばれます。
その点も含めて詳しく解説します。
2-1. 仲介会社に広告料が支払われるため無料
仲介会社に仲介手数料と同額の「広告料(AD)」が支払われる物件は、以下のように仲介手数料が無料になります。
最近多い仲介手数料無料の物件は、8割以上がこのからくりで募集されています。
上のイメージを見ればわかりやすいですが、損しているのはオーナーだけで、あなたは無駄な費用を払うことなく契約できます。
広告料(AD)ってなに?
広告料(AD)というのは、オーナーが不動産会社に入居者を早く見つけて欲しいときに支払う報酬のようなものです。
広告料の額が多ければ多いほど、管理会社も仲介会社も頑張って入居者を探すので、部屋が埋まりやすくなります。
都心には以下のように高額な広告料を払うオーナーも数多くいます。
広告料は上限なくもらえる
賃貸契約の仲介手数料の上限は「家賃:1ヶ月分+消費税」ですが、「広告料(AD)」や「業務委託費」などの名目にすれば、仲介会社は上限なくもらえます。
そして、広告料が支払われるケースでも、仲介手数料を無料にするか1ヶ月にするかは不動産会社が自由に決めれます。
つまり、どの物件でも「仲介手数料1ヶ月」と決めてる仲介会社で契約するのは、非常にもったいない選択といえます。
やり方はグレーだが違法ではない
内情を見るとグレーなやり方に感じますが、違法ではありません。
上のイメージで見てみると、仲介会社は家賃3.5ヶ月分の利益を得ていることになります。
全額が仲介手数料なら違法ですが、仲介手数料として受領しているのは1ヶ月分だけなので、違法とはならないのです。
このやり方が賃貸業界では当たり前
「こんなことするの悪徳不動産だけでしょ?」と思うかもしれませんが、大手の有名な不動産会社も含めて賃貸業界ではこれが当たり前です。
むしろ大手の不動産会社の方が、仲介手数料1ヶ月分を当然のように請求してきます。
2-2. 部屋のオーナーと直接契約するため無料
想像しにくいと思いますが、下記のケースだと部屋のオーナー(貸主)と直接契約することになるので、仲介手数料が無料になります。
- アパートのオーナーと連絡を取り合って部屋を契約した
- 不動産会社が自社の所有物件として貸し出してる部屋を契約した
ご覧の通り、仲介する立場の管理会社や仲介会社が間に入っていません。なので、仲介手数料無料というより”不要”になるのです。
「それなら直接契約できる部屋を借りたい!」と感じますが、このような形で募集される物件は限られるので、物件の選択肢が狭まります。
ただ、「ウチコミ!」というサイトでは、大家さんが入居者の募集をしているので、気に入った部屋があれば仲介手数料不要で契約できます。
テレビCMで有名な賃貸サイトは要注意
「SUUMO」など、有名な賃貸サイトで部屋を探すときは注意が必要です。
理由は、直接オーナーと契約できる窓口が用意されてるのに、無駄に仲介会社を挟んで仲介手数料を請求されるケースがあるからです。
実際に、同じ部屋の募集ページをそれぞれ見てみると、仲介手数料の設定が異なります。
このように、仲介会社に問い合わせるか、オーナーに問い合わせるかで、仲介手数料の負担が大きく変わってくるのです。
オーナーに問い合わせる方法
「SUUMO」の物件詳細ページの中段にある「不動産会社を選ぶ」をクリックします。
そうすると、物件を取り扱う不動産会社がいくつか出てくるので、「取引態様」をチェックしましょう。
「取引態様:仲介」は仲介会社、「取引態様:貸主」がオーナーになります。以下のイメージを参考にしてみてください。
上記引用:SUUMO
注意点として、すべての物件がオーナーへの窓口が用意されているわけではありません。
なので、気に入った物件があったら不動産会社をチェックして、オーナーが募集しているかどうかを確認しましょう。
オーナーが募集していないときは、仲介手数料の設定が安い会社を探して問い合わせてみましょう。
2-3. オーナーが仲介手数料を支払うため無料
割合でいうと非常に少ないですが、オーナーが広告料ではなく、仲介手数料の名目で不動産会社に支払うときは無料になります。
この場合、不動産会社は上限の家賃1ヶ月分をもらっているので、万が一あなたに仲介手数料を請求してきたら違法となります。
オーナーが仲介手数料を払う理由は?
オーナーが仲介手数料を払う1番の理由は、費用を負担してでも入居者を見つけたいと思っているからです。言い換えれば、費用を負担しないと入居者が集まらないともいえます。
例えば、人気の街の駅近物件は誰でも借りたいと思うので、オーナーが費用を負担しなくても入居希望者はたくさん現れます。
つまり、仲介手数料無料だったら何かしらのデメリットがあるのでは?と考えることが大切です。詳しくは次の章で解説します。
3. 仲介手数料「あり・なし」のメリット・デメリット
仲介手数料は「あり・なし」どちらの場合でもメリット・デメリットがあります。
この章では、仲介手数料ありの場合と、ない場合のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
また、注意点も含まれているので、損しないために知識を身につけておきましょう。
3-1. 仲介手数料ありのメリット
仲介手数料ありの場合、下記のようなメリットが考えられます。
- 物件のクオリティが高い
- 不動産会社の対応がいい
仲介手数料ありだからといって、すべての物件が上記のメリットを感じられるわけではありません。
ただ、仲介手数料なしの物件と比較すると、上記のメリットがあげられます。
物件のクオリティが高い
仲介手数料ありの物件は、仲介手数料を取るだけの価値がある物件とも言い換えれるため、物件のクオリティが高いケースが多いです。
このときのクオリティが高いというのは、単に新築や駅近といった条件面だけでなく、下記のような要素も含まれています。
- 高台で浸水や洪水のリスクが少ない
- 地盤が良く地震にも強い
- 緑が多い有名な公園が隣接してる
- 設備のグレードが高い分譲住宅※
オーナーはこういった部分を考慮して、「広告料を出さなくても自然と入居者は集まるだろう」と判断しているのです。
そうすると、不動産会社は入居者から仲介手数料をもらわないと報酬が0になるため、「仲介手数料1ヶ月」で募集するのです。
分譲住宅とは
分譲住宅は、オーナーが自身の居住目的に建てた、あるいは購入した、戸建てやマンションのことを指します。
一般的な賃貸物件の仕様にはない、グレードの高い住宅設備が揃っているのが特徴です。
不動産会社の対応がいい
仲介手数料は対価として契約者に払ってもらう「成功報酬」なので、ありの方がスタッフも身が引き締まり自ずと対応が良くなります。
あなたも「こんないい対応してくれる人には、きちんと対価を支払いたい」と感じるはずです。一方で、対応が悪いと払うのも惜しく感じるでしょう。
仲介手数料の有無に関係なく、素晴らしい対応のスタッフもいるので一概には言えませんが、傾向としては十分あり得ます。
3-2. 仲介手数料ありのデメリット
この点に関しては、当然ながら「費用の負担が増える」ということに尽きるでしょう。
しかし、先ほども述べたように仲介手数料はサービスの対価として支払うお金です。サービスや対応に満足したのであれば、デメリットに感じないはずです。
ただ、対応が悪かったり、十分なサービスを受けられなかったときは、大きなデメリットに感じるでしょう。
3-3. 仲介手数料無料のメリット
仲介手数料無料のメリットで大きいのは、初期費用を抑えられることでしょう。
家賃1ヶ月分が無料になれば、数万〜数十万円の費用を引越し代金や家具家電の購入費用に充てることができます。
また、手続きの多さから難易度は高いですが、数万円のキャッシュバックの対象となるケースもあります。
なんでキャッシュバックされるの?
「他社で契約するよりお得」といったことをアピールするために、オーナーからの広告料や仲介手数料の一部をキャッシュバックしているのです。
イラストで表すと以下のような流れです。
費用面ではメリットになりますが、キャッシュバックを受け取るには下記のオプションに加入する必要があったりするので、手間と労力はかかります。
- インターネット回線の契約
- ウォーターサーバーの契約
- 指定の引越し業者を利用する
- 指定の電気・ガス会社と契約する
3-4. 仲介手数料無料のデメリット
仲介手数料無料の物件で考えられるデメリットは下記のとおりです。
- 何かしらの欠点がある不人気な物件
- 礼金や更新料が相場より高い
- 無駄な費用が加算されている
- オプションの契約が条件になっている
仲介手数料が無料でも上記が該当しない物件もあります。
また、デメリットというより注意点に近いですが、あくまでも考えられる事例として、それぞれ解説していきます。
何かしらの欠点がある不人気な物件
一般的に条件が悪い不人気な物件は、仲介手数料が無料になりやすいです。
中でも下記のような条件だと、オーナーは広告料を払うので無料になるケースが多いです。
- 駅から遠くて不便
- 線路が近くてうるさい
- 墓地が近くて不気味
- 坂道が多くて不便
- 歓楽街で治安が悪い
- 築が古く内装も昔のまま
- エレベーターなしの4~5階の部屋
上記のことから、内覧するときは部屋だけでなく、周辺環境もチェックするようにしましょう。
不動産会社のスタッフに車で案内してもらうときは、駅までの距離感や坂道の有無などを把握しきれないので注意しましょう。
礼金や更新料が相場よりも高い
礼金と更新料の設定が「1.5ヶ月」や「2ヶ月」の場合は注意が必要です。
まずは礼金ですが、本来はオーナーに部屋を貸してくれるお礼として支払うお金です。ただ、その礼金を不動産会社が中抜きするケースがあります。
この点に関してはオーナーが了承してるケースが多く、イラストで表すと以下のような流れです。
仲介手数料無料でお得に感じますが、礼金が2ヶ月だと支払うトータルコストは変わりません。
更新料も同じ流れ
更新料は部屋の契約を更新するときにオーナーへ支払うお金ですが、一般的に家賃1ヶ月分をオーナーと不動産会社が折半します。
このとき、更新料が1.5ヶ月分になっていたら、以下の流れになるケースもあります。
また、更新料は「1ヶ月分」でも、更新事務手数料の名目で「0.25~0.5ヶ月分」を請求してくる不動産会社もあるので注意しましょう。
ちなみに、更新料は法律で上限などが定められていないため、1年ごとに2~3ヶ月分でも問題ないことになっています。
無駄な費用が加算されている
契約をするにあたり、通常請求されない無駄な費用が加算されるケースがあるので、下記の名目には注意しましょう。
- 契約事務手数料
- 契約書作成費用
- 口座振替手数料
金額でいうと「5,000~10,000円」が多く、一般的な賃貸契約で請求されることは稀なので、申し込む前に初期費用の見積もりを出してもらいましょう。
仮に上記の費用が加算されてる場合、「無駄なお金を払ってまで住みたい物件じゃない」と感じたら遠慮なく断りましょう。
オプションの契約が条件になっている
仲介手数料無料の代わりに、契約することで不動産会社に紹介手数料が支払われる、オプションの契約が条件になっていることがあります。
多くの人がオプションは絶対に入るものと思っていますが、下記のオプションは大半が任意加入なので、不要であれば加入する必要はありません。
- 消臭・消毒費用
- 24時間サポート
- 入居安心サービス
消臭・消毒費用は、まえの入居者の生活臭を消したり、室内を消毒するための費用です。あとのふたつは、主に鍵を失くしたときや、水道トラブルのときに対処してくれるサービスです。
ただ、どれも大金を払ってまで加入するサービスとはいえません。もちろん便利に使えることもありますが、サービスに不満を抱く人の方が圧倒的に多いです。
これらのオプションに加入しないだけで「1~3万円」初期費用が安くなるので、募集図面や募集ページに上記の項目が記載されていたら、加入は必須か任意か確認してみましょう。
大手不動産チェーンで加入を求められる
駅前に店舗を構えてテレビCMをバンバン流してる大手不動産チェーンで加入を求められることが多いです。
各社それぞれの名目でオプションを用意しているので、下記の不動産会社で契約するときは注意しましょう。
不動産会社 | オプション |
アパマンショップ |
|
エイブル |
|
ミニミニ |
|
ピタットハウス |
|
ハウスメイト |
|
また、募集図面や募集ページに記載がなかったにも関わらず、請求書に費用が加算されている場合は特に注意しましょう。
理由は、仲介会社が勝手に盛り込んでる可能性が高いからです。この場合、「オプションは不要なので請求書から削除してください」と伝えましょう。
ここまでが、仲介手数料のメリット・デメリット(注意点)です。
次の章で、気に入った物件が仲介手数料ありだった場合の交渉するときの注意点を解説します。
4. 仲介手数料を交渉するときの2つの注意点
仲介手数料を交渉するときは、注意点やルールを把握しておくことが大切です。
闇雲に交渉してしまうと、最悪の場合入居を断られる可能性もあるので、下記の2点に注意しましょう。
- 法律を前提にした交渉はしない
- 内覧するまえに交渉する
4-1. 法律を前提にした交渉はしない
仲介手数料は「オーナー0.5ヶ月分|あなた0.5ヶ月分」の負担割合が法律では原則と解説しましたが、この法律を前提にした交渉はしないほうがいいです。
仲介手数料が1ヶ月の物件で、「法律では0.5ヶ月分が原則となっているので0.5ヶ月分にしてください!」と交渉しても、多くの場合「では他を探してください」と言われてしまうでしょう。
なぜなら、多くの不動産会社が「仲介手数料は1ヶ月分」と規定で決めているからです。
契約するかしないかは不動産会社の自由
「1ヶ月分に納得してもらえないなら契約できません。」のように、契約するかしないか決めるのは不動産会社の自由です。
なので、いくら法律で定められてることを主張しても聞き入れてくれません。
ただし、「仲介手数料は1ヶ月分」という説明がないまま契約して請求されたときは、訴訟を起こすことで0.5ヶ月分になるケースも稀にあります。
4-2. 内覧するまえに交渉する
仲介手数料を交渉するときは、内覧するまえに金額を確認して、高いと感じたときに安くならないか交渉しましょう。
そうすることで、仲介手数料がお得な会社を選んで内覧できますし、スタッフと対面した状態で交渉する精神的な負担もなくなります。
最近では、自分で探した物件を仲介してもらうことで、「仲介手数料無料もしくは2~3万円」で契約できる不動産会社も増えています。
ただ、内覧の回数に応じて課金される複雑なシステムだったり、接客態度の悪さが気になると耳にすることが多いです。
NGな交渉のタイミング
NGな交渉のタイミングとして、申し込みや審査が完了したあとに交渉するのはやめましょう。厳しい会社だと入居を断られる可能性があります。
また、不動産会社を変えて申し込もうとしても、同じ人からの申し込みとオーナーは判断できるので、断られるケースも多いです。
こうならないためにも、内覧するまえに仲介手数料を確認して交渉することが大切です。
そして、賃貸契約では仲介手数料の他にも安く抑えられる項目があります。次の章で、初期費用が安い物件を探すときにやるべきことを解説します。
5. 初期費用が安い物件を探すときにやるべき3つのステップ
初期費用が安い物件を探すときは、下記3つのステップに沿って探すことで、効率よくお得な物件を見つけることができます。
- STEP1. 仲介手数料無料・礼金なし・フリーレント※|まずは3つの条件から探しはじめる
- STEP2. 仲介手数料無料・礼金なし|次は2つの条件で探してみる
- STEP3. 礼金なし|最後は礼金に絞って探してみる
- Q. 初期費用を分割・カード払いにすることはできる?
フリーレントとは
フリーレントは決められた日数分の家賃がタダになるお得な契約条件で、付与される期間の相場は「1~3ヶ月」です。
仮にフリーレント1ヶ月なら、1ヶ月分の家賃がタダになります。
注意点として、契約期間中に解約するとフリーレントでタダになった分の違約金を請求されることが多いです。
この章では、各STEPごとに実際の物件数も比較しながら解説します。物件を調べるサイトは物件数No1の「HOME’S」を使い、山手線内の物件で検索していきます。
ただ、物件検索サイトはこだわり条件に「仲介手数料無料」が用意されていないことが多いです。※「礼金なし」と「フリーレント」はあります。
なので、少し手間はかかりますが、初期費用を「数万円 ~ 数十万円」抑えるためと思って、下記のように試してみてください。
仲介手数料無料を条件に指定する方法
HOME’Sで「仲介手数料無料」を条件に指定するときは、”キーワードで絞り込む”の項目に「仲介手数料無料」と入力して検索します。
- パソコンの場合:エリアや条件を指定したあとに表示される、検索結果画面の左側に表示されます。
- スマホの場合:検索結果画面の上部にある「詳細条件」をクリックすれば、最下部に表示されます。
引用:HOME’S
STEP1. 仲介手数料無料・礼金なし・フリーレント|まずは3つの条件から探しはじめる
とにかく初期費用を安く抑えたいときは、「仲介手数料無料|礼金なし|フリーレント」の3つの条件を指定して探しはじめてみましょう。
仮に10万円の物件が3つの条件に該当すると、初期費用を「約25~30万円」抑えることができます。
実際に「3つの条件指定あり」と「条件指定なし」で比較すると、下記のようになります。
間取り | 3つの条件指定あり | 条件指定なし |
1R ~ 1K | 593件 | 45,228件 |
1DK ~ 1LDK | 285件 | 14,886件 |
2LDK ~ 3LDK | 37件 | 3,628件 |
物件数は格段に少なくなる
やはり3つの条件が揃ってる物件は格段に少なくなり、これだけの差がでる結果となりました。
ただ、この中に理想の物件があれば他と比較する必要はなく、あなたにとって理想の物件を最もお得に契約することができます。
一方で、気になる物件がなかった場合は、STEP2の条件で探してみましょう。
STEP2. 仲介手数料無料・礼金なし|次は2つの条件で探してみる
フリーレントがついてる物件はそれほど多くないので、次は「仲介手数料無料|礼金なし」の2つの条件を指定して探してみましょう。
実際に「2つの条件指定あり」とSTEP1の「3つの条件指定あり」で比較すると、下記のようになります。
間取り | 2つの条件指定あり | 3つの条件指定あり |
1R ~ 1K | 3,847件 | 593件 |
1DK ~ 1LDK | 1,020件 | 285件 |
2LDK ~ 3LDK | 125件 | 37件 |
物件数が3倍以上増える
フリーレントを条件から外すと、物件数がどの間取りでも3倍以上増える結果となりました。
ただ「1R ~ 1K」のように、物件数が数百件もあるとチェックするのが大変なので、条件を追加して物件を絞りましょう。
例えば「駅まで10分以内」にしたり、「2階以上の部屋」を指定するなど、あなたがこだわりたい条件を加えて検索してみてください。
一方で、この条件でも気になる物件がなかった場合は、STEP3の条件で探してみましょう。
STEP3. 礼金なし|最後は礼金に絞って探してみる
物件数が少なかったり、好みの物件が見つからないときは「礼金なし」だけに絞って探してみましょう。
1~3月の引越しシーズン以外であれば、礼金なしの物件は比較的多いので、きっと理想の物件が見つかるはずです。
実際に「礼金なし」とSTEP2の「2つの条件指定あり」で比較すると、下記のようになります。
間取り | 礼金なし | 2つの条件指定あり |
1R ~ 1K | 8,826件 | 3,847件 |
1DK ~ 1LDK | 2,212件 | 1,020件 |
2LDK ~ 3LDK | 388件 | 125件 |
相当数の物件がヒットする
上記のとおり「礼金なし」だけを指定すると、相当数の物件がヒットするので、改めてこだわりたい条件を追加して物件を絞りましょう。
初期費用を抑えたいなら「礼金なし」は条件に入れたほうがいいですが、物件選びに妥協できないときは、礼金ありの物件も検討しましょう。
Q. 初期費用を分割・カード払いにすることはできる?
クレジットカードを利用できる不動産会社の物件であれば、分割・カード払いができます。
「HOME’S」で物件を探すときは、こだわり条件の「家賃・初期費用カード決算可」にチェックを入れて検索すれば、対応してる物件がヒットします。
ただ、お手持ちのクレジットカードで払えるケースと、新たにクレジットカードを作るケースにわかれるので、事前に確認するようにしましょう。
6.まとめ
賃貸の仲介手数料について解説してきましたが、いかがでしたか。
賃貸物件を借りるときの仲介手数料は、不動産会社がオーナーとあなたの契約を仲介(サポート)したときに発生する手数料です。
そして、賃貸契約の仲介手数料は「家賃:1ヶ月分+消費税」が上限と法律で決められています。これ以上の額を請求されたら違法になるので、注意しましょう。
相場は「0.5~1ヶ月分」ですが、最近は無料の物件も増えていてお得に契約できるケースが多いです。
ただ、無料の物件はデメリットや注意点があるので、下記の点に気をつけましょう。
- 何かしらの欠点がある不人気な物件
- 礼金や更新料が相場より高い
- 無駄な費用が加算されている
- オプションの契約が条件になっている
また、できるだけ内覧するまえに仲介手数料の金額を確認して、高いと感じたときに交渉しましょう。
仲介手数料を含む初期費用の交渉方法が気になる人は、下記の記事を確認してください。
この記事を読んだことで、あなたが賃貸の仲介手数料で悩まずに、希望の物件をお得に契約できることを願っています。
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